障害年金と生活保護の関係
1 障害年金と生活保護の違い
障害年金とは、一定の要件に該当する人が病気や怪我で障害を負い、生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取れる年金です。
これに対して生活保護とは、国が生活に困窮している世帯に対して、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度であり、自立を助長することを目的としています。
生活保護は、預貯金や不動産の売却、労働、その他手当の活用、親族からの援助をもってしても、最低生活費に満たない場合に適用されます。
それでは、障害年金と生活保護は、どちらも受けることができるのでしょうか。
2 生活保護を受けている方でも障害年金を請求することができる
生活保護を受け取っていても、障害年金の受給要件を満たせば、障害年金を請求することはできます。
ただし、生活保護では障害年金も収入とみなされます。
生活保護は障害年金を上回るケースが多いので、支給される障害年金は生活保護から減額されることになります。
つまり、生活保護のみを受け取る場合と、障害年金を受け取り生活保護から障害年金分を差し引かれて受け取る場合では、合計の支給額は同じになるということです。
受け取る金額が同じなら、手間や時間をかけてまで障害年金申請をしたくないという方もいらっしゃいます。
しかし、生活保護は、他の制度等による支援を受けても不足する金額について生活保護費を受け取ることが原則ですので、障害年金を受け取れるのであれば申請して受け取ることが原則ということになります。
また、生活保護を受けている方が障害年金を受け取る場合の実質的なメリットとして、障害年金1級または2級を受け取ることができるときには、生活保護に障害者加算を受け取ることができるというものがあります。
原則として、生活保護費が障害者加算分だけ高くなりますので、受け取れる金額は結果として増えることになります。
また、生活保護には様々な制約がありますが、障害年金にはありません。
受け取った障害年金の使い道も自由で、使い道の報告をする必要もありません。
体調が多少回復して就労を開始したり、相続などで財産を得た場合には、生活保護は支給額を減額したり停止したりしますが、障害年金であれば原則として減額されません。
さらに、障害年金は最大5年分の遡及請求が可能ですので、生活保護を受けている期間と重なっていない期間の障害年金については、遡って受け取ることができます。
3 障害年金の受給について専門家にご相談ください
以上のとおり、生活保護を受けている方でも障害年金を請求することができます。
条件によっては、生活保護と障害年金の両方を受け取る方が、メリットがある方もいらっしゃいますので、一度専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金申請の必要書類
- 障害年金の決定から支給まで
- 障害年金の申請期間
- 障害年金の不支給通知が届いた場合
- 障害年金申請で診断書の記載が重要な理由
- 障害年金の配偶者加算
- 国民年金で障害年金2級が認定された場合の金額
- 障害年金の時効
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- 学生でも障害年金の支給を受けられるのか
- 障害年金の種類
- 障害年金を受給することによるデメリット
- 障害年金を受給すると扶養からはずれるのか
- 障害年金と生活保護の関係
- 障害年金受給中に新たな障害が発生した場合の対応方法
- 統合失調症で障害年金が受け取れる場合
- 双極性障害で障害年金が受け取れる場合
- 発達障害で障害年金が受け取れる場合
- ダウン症で障害年金を請求する場合のポイント
- がんで障害年金が受け取れる場合
- 糖尿病で障害年金が受け取れる場合
- 聴力の障害で障害年金が受け取れる場合
- 呼吸不全で障害年金を請求する場合のポイント
- 肝炎で障害年金を請求する場合のポイント
- クローン病で障害年金を請求する場合のポイント
- 額改定請求について
- 障害年金の更新
- 障害年金の永久認定
- 障害年金と障害者手帳の違い
- 特別障害者手当
- 障害者手帳について
- 障害者年金
- 社会保険労務士とは
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