肝炎で障害年金を請求する場合のポイント

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 伊藤美穂

最終更新日:2024年06月11日

1 肝疾患による障害年金申請

 障害認定基準によると、肝疾患による障害の認定対象は、慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変及びそれに付随する病態であるとされています。

 慢性肝炎は原則として認定の対象となりませんが、検査数値等によっては認定の対象となる場合があります。

 一方、肝硬変は認定の対象ですが、発症原因によって、病状、進行状況等を異にしますので、各疾病固有の病態に合わせて認定されます。

 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどによる肝硬変は、肝炎と肝硬変の因果関係が認められやすくなっています。

 肝がんの認定の際には、悪性新生物の認定要綱も考慮に加えています。

 アルコール性の肝硬変の場合には、継続して治療を行っていること及び検査日より前180日以上アルコールを摂取してないことが確認できた場合に限って認定されます。

2 肝炎の初診日

 肝炎から慢性的な炎症が続くと肝硬変や肝がんに進行して症状が重くなっていきますので、障害年金を請求する際には初診から長期間経過をしてからの請求となることが多くあります。

 初診日から時間が経っていると、初診の際のカルテが残ってなかったり、病院自体がなくなっていたりすることもあり、初診日の証明が難しくなります。

 ただ、すべての事例で肝炎の初診日が障害年金の初診日になるわけでもないため、注意が必要です。

 肝炎で障害年金を申請する際には、初診日や障害認定日について慎重に判断しなければなりません。

3 肝炎の障害認定基準

 肝疾患での障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、日常生活状況等を基準に総合的に判断されます。

 他覚所見としては、肝萎縮、浮腫、腹水、黄疸、腹壁静脈怒張、出血傾向等さまざまなものがあります。また、検査としては血球算定検査(血小板数等)、血液生化学検査(血清総ビリルビン、血清アルブミン等)の他にも肝炎ウイルス検査、血液凝固系検査等があり、検査成績については変動しやすいため、肝疾患の経過中に最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うとされています。

 障害年金の認定の際には、様々な要素をきちんと診断書に反映させなければなりません。

 また、肝硬変や肝がんにより肝臓移植がされる場合もあります。

 肝臓移植の場合には、術後に臓器が生着して安定的に機能するまでの期間を考慮して、術後1年間は従前の等級としますが、その後は術後の症状や治療経過、検査成績、予後等を十分に考慮して総合的に認定されることになります。

4 肝炎で障害年金を請求する場合は専門家に相談を

 肝炎で障害年金を請求する場合には様々な注意が必要です。

 肝炎で障害年金を請求する場合には、必ず弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

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